悠久のシャングリラ
花に彩られた人生
♡桜 side♡
『はい。
それじゃ、今日も体温測りますよー』
何も変わらない、
酷くつまらない毎日の幕開けは、
看護師のこの言葉から始まる。
(ああ、これは……僕の過去か……)
ぼんやりと見えてきた瞬間、
また欠片が見せているのだと気づいた。
そしてこの過去は、
あまり僕にとって良い思い出ではない。
一番弱かった頃の自分を、
まるで他人事のように
壁にもたれながら眺める。
この時の僕が目にしたら
一体なんというだろうか。
どうでもいいことが頭に浮かびながら、
ベッドの上でだるそうにしている自分を直視した。