悠久のシャングリラ


布団から見え隠れする、
骨のようにやせ細った体。
血が通っていないような白い肌。

まるで女みたいだと、
弱い体と合わせて嫌いだった。


(それにこの時、たしか僕は……)


『朝食が終わったあとは、
今日もこのお薬飲みましょうね』

『そんなの飲んでも治らない。
僕はーー桜が咲く頃には死んでるんでしょ』

『! ……そ、そんなこと……』

『変な慰めはいらないから。
聞いちゃったんだよ……、話しているの』



そう。
この頃の僕は、桜を見れるか見れないかの瀬戸際に立たされていた。

知った時は衝撃的で、
しばらく理解出来なかった。

< 156 / 306 >

この作品をシェア

pagetop