悠久のシャングリラ


……と思っていたのが影響したのか、
場面が徐々に切り替わっていく。


『あいつだろ?
頭がおかしいって、噂の……』

『ああ、関わんねぇ方がいいぞ。
こっちにまで馬鹿になる!』

『………』


(今聞いても、酷い言われよう……)


思わず自分に同情してしまうほど、
陰でこそこそ言われるのは、
精神的にくるものがあった。


小さいおれに、小石が投げつけられる。

それでも動こうとせず、
ただ俯いて下唇を噛み締めていた。


『やめなよ!』


声が響いた瞬間、懐かしさに目を細め、
頬が緩みきっているのがわかった。

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