悠久のシャングリラ


おれがこの声を聞き間違えるはずがない。


おれにとって、特別で、
【奇跡】の女の子なのだからーー。


『相手が嫌がってるのがわからないの!?』

『誰だよ、お前』

『悪い人は地獄に行くって、
お母さんが言ってたんだよ!』

『はぁ? 意味わかんねぇ。
お前もこいつと同じ【変人】かよ!』


また握っていた小石を投げつけられる。

幼いおれは怯えて首を縮こませたけど、
おれの大切な子は、おれなんかより断然強くてかっこよかった。


『……っ!』


おれを庇って両手を広げ、
当たらないようにと守られる。

小石は彼女の頬にあたり、
薄く血を滲ませた。

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