悠久のシャングリラ
「わぁ! すごい!」
「ど、どうなっているのよ!?」
「魔法みたいな原理じゃないかな」
「魔法なんて……そんな非科学的なもの、
簡単に信じられないわ!」
「でも実際君の目の前に、斧はある。
僕はマジシャンじゃないから、
隠し持ってた……なんて有り得ないよ」
「…………」
そうは言われたものの、
やっぱり私だってまだ半信半疑。
指輪をはめて、頭の中で想像するだけで、
武器が出てくるなんて……。
目の前で出されたから、
つい興奮はしてしまったけれど。
「なんなら、
娘さんたちもはめてみたらどうだ?」
その言葉に、私たちは揃って
置かれている箱の中を覗いた。
桜がはめているのと同じ形の指輪。
それらがしっかりと、納められていた。
見れば、藤の指にもそのリングがある。
私は好奇心にそそられ、
片方の指輪に手を伸ばしーー。
親指と人差し指に、
ゆっくりとそれをはめた。