悠久のシャングリラ
光差す最後の欠片
見つけた壁まで、
みんなを先導していく。
「ここです!」
そっと手を添えると、
ギィィと鈍い音があたりに響いた。
隙間から吹き込む生暖かい風が、
撫でるように頬を通り過ぎていく。
ゴクリと飲み込んだ生唾が、
やけに大きく耳元で聞こえた気がした。
「ほんとにあったんだなぁ」
「けど、真っ暗だよ?
これって進めるの?」
「おお、怖いのか? 桜。
なら仕方ない。 俺が先に行ってやろう!」
「っ、誰も怖いなんて
言ってないけど!?」
「ははっ」
「その適当な笑い方やめてくれる!?
すっごく鼻につくんだけど!」
藤と桜の言い合いを微笑ましく思いながら、
手に持っていたランプを暗闇にかざす。
淡く照らされた先は、
奥まで道が連なっているようだった。