悠久のシャングリラ


肩越しに後ろを見やると、
気づいた鈴蘭がウインクを飛ばしてきた。


「だって手、握れないだろ?
怖いって一言でも言ってくれたら、
手を繋ぐ口実ができるのになぁって」

「貴方……本当に抜け目ないわね」

「褒め言葉として受け取っとくぜ!」


桔梗の呆れ顔も吹き飛ばすような
軽やかさで返事をする鈴蘭。

その様子がおかしくて、
また笑ってしまった。

こんな楽しい時間がずっと続いてくれたら。

そう願いながら、足を進めたーー。

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