悠久のシャングリラ
『咲夢梨が来たいって言ったから。
……理由はそれに尽きるよ』
『本当にそれだけなの?』
小首をかしげた瑠璃に、
今度はしっかりと視線を合わせる。
不意に目が合って、
瑠璃は不覚にも顔を赤く染めた。
『咲夢梨はボクの【太陽】なんだ。
……あの子がいないと、ボクは存在できない』
『そ、そんな…大袈裟な……』
『これが大袈裟でもなんでもないんだよ。
だって本当の意味でボクを救ったのはーー』
『おーい! 二人とも!
一緒に遊ぼうよ〜!』
その先の言葉は、川の波打つ音と、
咲夢梨の声で遮られた。
でも瑠璃には、なんとなくわかった。
隼人がこんなにも優しい顔をするのは、
咲夢梨の前だけ……なのだから。