悠久のシャングリラ
「お、落ち着いてください。
最初ですから後ろから見ていましょうよ!」
そう訴えかけると、
涙目でキッと睨みつけられた。
「わかってない! あの化け物は、
人を食べようと襲うのよ!?
そんな相手、嫌に決まってるじゃない!」
桔梗は、ここに来てすぐ、
あの化け物に襲われている。
おそらくそれがトラウマとなって、
防衛反応が出ているのだろう。
かと言って、
一人置いていくこともできない。
この館で何が起こるかわからない以上、
迂闊に一人になるべきではないからだ。
と、藤が言っている。
「それでも、あたしは残る!
みんなで勝手に化け物でも何でも
退治していればいいでしょう!」
…………。
途方に暮れて、近くの二人を見やる。
彼らも同じように、
打つ手なしと言いたげな顔をしていた。
どう説得しようか、
全員で頭を悩ませていたーー。