悠久のシャングリラ


ーー絶対に、助からない。



目の前の光景に、
そんな気持ちが沸き起こった……。


雨に混じって、あたしの頬を伝うもの。



(……涙……?)



ーーあたしが、殺してしまった。


ーーあたしが、手を離してしまった。


「……瑠璃!!」


今度は隼人が、あたしの名前を呼ぶ。



憎しみ、怒り、悲しみーー。


咲夢梨を呼んでいた時とは対照的な、
負の感情がこもった声色だった。

< 206 / 306 >

この作品をシェア

pagetop