悠久のシャングリラ


「オマエだけ何も思い出さなかったとは
言わせない。 ……オマエも見たはずだ!
あの欠片が見せた消えない【罪】をな!」

「ぐっ……!」

「ボクは絶対、オマエを許さない!
オマエのせいで……、オマエのせいで!!」


視界がぼんやりしてきた時、
後ろから藤が止めに入ってくれた。

ひゅっと空気が気道を通り、
けれどいきなりで思いっきりむせてしまう。


「やめろ! 落ち着け、睡蓮!」

「オマエは平気なのか、奈琉。
コイツのせいで咲夢梨はーー!」


怒りの炎が、身を焼き尽くすように、
今にも燃え広がりそうだった。

あたしは動くことも立ち上がることも出来ず、ただ震えながら二人の動向を見つめていた。

< 216 / 306 >

この作品をシェア

pagetop