悠久のシャングリラ
「ボクは瑠璃を許せない!
ボクには、あの子だけだったのに!!」
「だとしても! ……少し落ち着け。
ここで殺すことが最善なわけがない」
落ち着かせるように、
優しく諭すように告げる。
「そんなことしたら、
それこそ咲夢梨が悲しむだろう?」
「………」
獣のように血走った目をあたしに向けたまま、睡蓮は藤の言葉に一歩退いた。
納得してではなく、渋々で。
腕から伸びた黒い炎も収まらないまま。
静まり返った石の広場で、
今度は鳳仙が口を開いた。
「けど、今回ばっかりは隼人に同意。
殺すまではいかなくても、
この状況がわからないって何?」
鳳仙のこんな冷たい目、見たことがない。
瞳の奥には、怒りが滲み出ていた。