悠久のシャングリラ


「……あたし、は……」

「さっき見たはずだろ。
オレたち七人の【最後の日】をさ」


傍にいた鈴蘭が、立ち上がりながら呟く。


(……最後の、日……?)


その刹那、後ろから鈍器で殴られたような
衝撃を受けた。





ーーそうだ……あたしは見たはずだ。





見たくなかったけど、
思い出したくなかったけど。


過去の記憶が波のように押し寄せてくる。


「あ…あ……ああぁ」


希望だった欠片が見せた絶望。

こんなもの、失くしていた方がマシだった。

目の前が真っ赤に染まり、
幻覚だとわかっているのに……。




自分の手が汚れている気がしたーー。

< 218 / 306 >

この作品をシェア

pagetop