悠久のシャングリラ


「おいおい、扉を蹴破っての登場か?
随分と派手なことするじゃねぇか」

「ここに、咲夢梨がいないのと関係ある?」

「ありますよ」

「もちろんです」


睡蓮の問いに、双子は迷いなく答えた。

扉の件で正気を取り戻したあたしは、
さっと周囲を確認する。

たしかに、あの子だけいなかった。


「主ちゃんの命により、
お客人を【シャングリラ】へ案内します」

「シャングリラ……?
それってどこにあるの?」

「シャングリラとは即ち【桃源郷】」

「本来ならお客人が立ち入りを禁止された
【禁忌】の領域です」

「そんな場所に館の主がいるっていうの?」


半信半疑で桜が問うと、
双子は揃って頷いた。

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