悠久のシャングリラ
「ここが、【シャングリラ】じゃねぇの?」
シャングリラ。
意味としては、
桃源郷や理想郷だと記憶している。
たしかにここは、
そんな【楽園】のような言葉が
お似合いの場所なのだろう。
それは嫌味でも皮肉でもなく、
ボク個人の率直の感想だった。
「そんで?
ここに館の主様がいらっしゃるのかぁ?」
皮肉が滲む声で鈴蘭が尋ねると、
二人はそれが気に入らなかったのか、
ピクリと片眉をあげた。
「思いのこもっていない敬語はいりません」
「非常に不愉快です」
声と呼応するように、
周りに生えた銀の木の枝が
勢いよく伸び鞭のようにうねった。