悠久のシャングリラ
もう一つの真実
♡other side♡
「いい機会だから、見せてあげるよ。
彼女がどう過ごしてきたのか。
何も無い世界で何を感じていたのかーー」
クイナが声を発したことにより、
神秘に見せられていた誰もが、
現実へと戻ってきた。
そしてその言葉を理解する同時に、
彼らは少しの汗を滲ませる。
それはやはり、
【過去】を知ったからなのだろうか。
クイナは、花の蕾のケースの中から
咲夢梨をそっと抱き上げた。
小さな二人はその一挙一動を見ているものの、止めに入るつもりはないらしい。
抱き上げる丁寧な動作に、
少なからず彼女を大切に思っているであろうことが伝わってきた。
「さあ、きみたちの知らない……
もう一つの【真実】を知るときだよ」
その声色から、
恐怖が湧き上がることはない。
むしろその逆ーー、
真実を知らなければという気持ちにさせる。