悠久のシャングリラ


けれど、【何もない】。

心臓がバクバクと暴れ出して止まらない。

血管が切れそうなくらい身体中が熱くなり、皮肉にもそれで自分と空間との【境界】がハッキリとわかった気がした。

誰も何もいない。……闇しかない。


「うぇっ……」


気持ち悪くて、吐きそうだった。

みんなはどこに行ってしまったのだろう?

私ひとりがどうしてここにいるのか、
全くと言っていいほど思い至らなかった。

それでも手がかりを探して歩き出す。

頬に伝う涙もそのままに、
休むことなく歩き続けた。

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