悠久のシャングリラ
死よりも辛いこと
……やっと完成する。
長年の悲願を経て、
創成された世界がそこにあった。
ーーしかし。
「………」
私は既に、
もの言わぬ人形と成り果てていた。
暴れることもなく、ただ静かに。
呼吸をくる返すだけの、
生きているのか怪しい存在。
思い出した記憶も、
元から持っていた記憶も。
砂時計の砂のように、
この手からこぼれ落ちていった。
なんのためにここまで来たのか。
もはやその【理由】さえわからない。
けれど【願い】は忘れていない。
この胸にしっかりと焼き付いていた。
それでもたまに、霞に攫われそうになる。