悠久のシャングリラ


それからは、何があったのか覚えていない。


強大すぎる力は抑えが効かず、
周りの闇を壊しながら暴れたそうだ。


その力を抑えるため、
彼らが用意していた【器】に、
肉体を眠らせる液体を入れることになった。


キラキラと輝いた、
濁りのない海の底のような色。


その救いの色をした液体が、
ケース全体を満たし……。


二人に力を抑えられ、
私はその液に身を沈めることになった。


磐座が裂いた魂の蔦が液の中で絡まる。


その周囲を、見たこともない
美しい薔薇の花が埋め尽くした。


薄れていく意識の中、
ガラスケースの向こう側の二人を見やる。

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