悠久のシャングリラ


「……して……」

「え?」

「……どうして……キミが……」

「あの……睡蓮……?」


様子がおかしいことに気づいたのか、
鈴蘭が声をかける。


「睡蓮? どうしたんだよ」

「いや……違う。
あれは、そうじゃなくて……」


混乱しているのか、
言動も噛み合わなくなってきた。


「おい! しっかりしろ!」


大きな声で、
周りにいた他のみんなも集まってくる。


「……まだ………まだ、ちゃんと……」

「どうしたんだ?」

「いや、コイツの様子がおかしくて……」

「ーーーー」


何かを呟く声が聞こえたと思った瞬間、


(え……?)


睡蓮の瞳から一筋、涙が流れる。

美しく透明なそれは、
頬を伝い、最後には床へと消えてしまった。

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