悠久のシャングリラ


彼女の気持ちは想像以上に重く、
胸が引き裂かれるような心地だった。

咲夢梨を一人、孤独の闇に置き去りに
してしまっていたのかと思うとーー。

今までのうのうと明るい場所を生きてきたのが、とても罪深く感じる。

他の者たちも想いが同じなのか、
下唇を噛みながら俯いていた。

助けられなかった罪悪感と、
死んでもなお苦しんでいた事実。

それらの波が、大きな津波となって、
押し寄せてくるかのようだったーー。


「オレたちって、
何だったんだろうな……」


誠斗が、独り言のように呟く。


……【何】か。


心の中で反芻し、
隼人や自嘲気味に鼻で笑った。

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