悠久のシャングリラ


目もくらます光が収まったあと、
一斉に足元に青い花が咲き誇った。

その周りを蛍が飛び交い、
空には久しぶりに見た満月がある。

雲に薄く隠れた月光は、淡く蛍や青い花を照らし、みんなの心を魅了していた……。

よく見ると地面ーー床は土ではなく、
湖が広がっているような。

あまりに透き通りすぎて、
鏡と間違えてしまいそうな。

そんな床に、隼人たちは足をつけていた。


「………」


一陣の風が吹き抜ける。


瑠璃は揺れた髪もそのままに、
少し先に目を凝らした。


そこだけ、空を覆っていた雲が割れ、
光の橋のように神秘的に照らしていたから。

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