悠久のシャングリラ
『どうして、亜紀ちゃんと瑠璃は、
一言も話してくれないの……?』
圭介や奈琉、隼人に誠斗は、
少なからず声を発してくれていた。
けれど二人は……。
「話したくなかったわけじゃない。
ただ……過去を知ってる今、
あんたが目の前にいるのが奇跡で……」
少し涙ぐんだ声に、
私までもらい泣きをしてしまいそう。
亜紀ちゃんは、とても素直な子だった。
隠しているみたいだったけれど、
本当は誰よりも表現が豊かで、
誰よりも感受性が高かったのだ。
私はそんな亜紀ちゃんが大好きだったし、
一緒にいてくれてすごく嬉しかった。
長い時間会わなかった今も、
その気持ちは何ら代わりを見せていない。