悠久のシャングリラ
『……落ち着いて。
あの先に、帰るための扉があるからーー』
指差した方向に、
ステンドグラスの大きな扉がある。
クイナがあのタマゴ型の置き物で
見せてくれた扉と同じ……。
『……さあ、行って』
「っ! 行けない!
キミを置いていくくらいなら、ボクは!」
「ああ、そうだ!
やっと全部思い出してこれからなのに!」
「オレだって……そうだ!
まだまだ話してないことがあるぜ!」
「僕だって残りたい!
また君一人だけ置き去りなんてできない!」
『……隼人、亜紀ちゃん、誠斗、圭介……』
見ると瑠璃も、また泣いている。
……どうやらいつもより、
涙腺が弱いらしい。