悠久のシャングリラ


『……落ち着いて。
あの先に、帰るための扉があるからーー』


指差した方向に、
ステンドグラスの大きな扉がある。

クイナがあのタマゴ型の置き物で
見せてくれた扉と同じ……。



『……さあ、行って』



「っ! 行けない!
キミを置いていくくらいなら、ボクは!」


「ああ、そうだ!
やっと全部思い出してこれからなのに!」


「オレだって……そうだ!
まだまだ話してないことがあるぜ!」


「僕だって残りたい!
また君一人だけ置き去りなんてできない!」



『……隼人、亜紀ちゃん、誠斗、圭介……』



見ると瑠璃も、また泣いている。

……どうやらいつもより、
涙腺が弱いらしい。

< 278 / 306 >

この作品をシェア

pagetop