悠久のシャングリラ


(みんな……ありがとう)


その気持ちは嬉しい。ーーだけど。


『……奈琉』


私は唯一冷静そうな彼に呼びかけた。

名前を呼ばれた奈琉は
全てを承知したように、一つ頷く。

その目にも涙が浮かんでいるが、
私はそれを見なかったことにした。



「隼人!亜紀!
いつまでも咲夢梨に縋りつくな!」


「「!」」


「誠斗と圭介もだ!
いい加減、子供の我儘はよせ!」


「っ」


「子どもって……」


「……瑠璃もだ。
あまり泣いていると咲夢梨が困るだろう」


「……っ、わかって、るわ……」


こういう時、奈琉はとても頼りになる。

< 279 / 306 >

この作品をシェア

pagetop