悠久のシャングリラ


いつもなら隼人や圭介、
時々亜紀ちゃんが先導するものの。

彼らはたまに子供っぽく、
我儘なところがよく似ていた。

そんな彼らの抑制剤が、奈琉なのだ。

まるでお父さんのようだと思いながら、
みんなの心が緩んだ隙をついて。


ーーパチンッ、と指を鳴らした。


彼らの体は羽を持ったように中に浮かび、
そのまま引き寄せられるようにして、
扉へと羽ばたいていく。

そのすれ違い様、ほんの数秒……、
隼人と目と目が合った。

その一瞬で、
彼の耳にだけ届く声を発する。

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