悠久のシャングリラ


終焉の日から、今日で十年。

彼らの刻が止まっても動き続ける世界。

そんな世界を、
彼らはどれだけ恨んだことだろう。

それなのに、あの館での出来事はなかったかのように、世界の刻は変わっていなかった。


「本当に……世界は残酷だね……」


隼人はキラキラと光り輝く水面を見つめ、
心の闇を流すように涙をこぼした。

それを横目で見ていた瑠璃は、
胸の前で拳を握りしめーー。


「隼人」


彼の名を呼んだ。
隼人は振り返ることなく、佇んでいる。

それでも諦めず、
瑠璃はその場で頭を下げた。

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