悠久のシャングリラ


「なんだぁ、桔梗ちゃん行かねぇの?
この館の中って、結構面白いぜ?」

「………」

「それに、両手に花の方が
オレのやる気も上がるし!」


その一言余計です!
とツッコミを入れたいのをぐっと抑える。


「わ、私も、桔梗がいてくれた方が
心強いですよ!」

「そうだな。
娘さんもいた方がいいに決まってる」

「どうしても行きたくないのなら、
ここに "一人" で待っててね」

「!」


桜の辛口な一言に、ピクリと肩が動く。


「………あ、あの化け物が出ても、
あたしは戦わないわよ………」

「はい! それで構いません!」


嬉しくて、つい桔梗の手を握る。


「ちょ、ちょっと!」

「さあ、気が変わらないうちに
早く行きましょう!」


そのまま手を繋ぎ、
グイグイと引っ張っていく。


「ちょっと百合!
そんなに引っ張らなくても……!」


私たちの後に並ぶように、
全員一緒に部屋を出たのだったーー。

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