悠久のシャングリラ


「いただけませんね。 ハイエナなのに」

「いただけません。 ハイエナ風情が」


可愛らしい声とともに、
背中をすり抜けていく強い風。

それと同時に近くに感じていた
化け物の気配が消え去った。

恐る恐る目を開けると、
やはり目の前に化け物はいない。

それどころか、藤たちが戦っていた
化け物たちもいなくなっていた。


(い、一体何が起こって……。
それに、この子たちは……誰でしょう?)


黒い髪に赤が混じった女の子と、
同じく黒い髪に青が混じった男の子。

衣装は子供には似つかわしくない袴で、
淡い光を放つ色合いのものだった。

瞳の色は印象的な、翠。

顔は双子のようにそっくり。

声も似ているように感じる。


(もしかして、この子たちが……
藤と桜の言っていた……?)

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