悠久のシャングリラ
第二章 思い出の欠片
すっかりおなじみとなった、白い部屋。
そこで私たちは、
さっき言われたことを話し合っていた。
「つまり簡単にまとめると、
百合が死んだら僕たちは館から出られない。
そしてそれは、彼らがいう【主】の命令」
「そういうことだよね?」と、
桜が周りに座るみんなを見渡した。
「何がまとめると、だ!
言ってることそのまんまじゃねぇかよ!」
不機嫌な鈴蘭が、
ソファーの端に頬杖をつきながら言う。
睡蓮は相変わらず分厚い本を読んでいるが、
やっぱり私の傍に座っていた。
桔梗はまた襲われたことがショックだったのか、さっきから一言も喋っていない。
「桔梗、大丈夫ですか?」
「……百合」
ようやく顔を上げた桔梗だったが、
その顔は死人のように真っ青でーー。
「少し部屋で休みますか?」
背中を撫でながら聞くと、
彼女は弱々しく頷いた。
「皆さん、少し席を外してもいいですか?
桔梗を休ませてあげたいので」
「ああ、いいぞ。
こっちはこっちで話を進めておくから、
娘さんもゆっくりしていてくれ」
「はい、ありがとうございます」
気遣いに感謝しながら、
桔梗とともに二回の部屋へと上がった。