悠久のシャングリラ
私は姿勢を正した。
「私の名前は、百合です。
これからよろしくお願いします」
「おれは鳳仙花。
長いから、鳳仙って呼んで」
鳳仙花(ほうせんか)、もとい鳳仙は
私と挨拶を交わすと桜に視線を送った。
「じゃ、話を戻すけど。
ステンドグラスがどこにあるか……。
まずはそれが問題だよね」
「はじめの頃にだいたい見て回ったけど、
そんなモン落ちてなかったぜ」
「だが、
この館にあるのは間違いないだろう」
「……ねぇ、もしかして……
………これのこと?」
睡蓮がポケットから
出したもの、それはーー。
「え!?
こ、これステンドグラスじゃん!」
「……やっぱり、そうなんだ……」
「オマエ、これどこにあったんだよ」
「さっきの……
化け物が落としていった……」
ということは、ステンドグラスの欠片は
あの化け物が持っている可能性が高い?
「お手柄だ、睡蓮!」
机の上に置かれたステンドグラスは、
薄い水色でキラキラと輝いていた。