悠久のシャングリラ


『きゃああ!
私、この俳優さん大好きなの!』


誰かの声で、意識が浮上する。

ゆっくり目を開くと、


(え……?)


何故か見知らぬ場所で、佇んでいた。


『こらこら、あまり大きな声を出すと、
せっかく寝たこの子が起きてしまうよ』

『あら、私ったら……。 ごめんなさい』


おちゃめに舌を出し、
それでも笑っている女の人がいる。

その隣には、優しそうな顔の
男の人が座っていた。


『もうすぐこの子も幼稚園だな……』

『子供が成長するのは、
本当にあっという間ね……』


二人が感慨深そうに呟く。

その視線の先には、
可愛らしいベビーベッドで眠る子が……。

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