悠久のシャングリラ


「本当だ。
やっぱり、僕たちの他にもいたんだ」

「見に来て正解だった。
あの化け物に娘さんが喰われるところ
だったからな……」

「この二人だけ? 他は見て回ったの?」

「しっかりと見て回ったぞ!
腕ならしに数匹化け物退治もしたしな」

「……ああ、そう」


わからない話が次々と続き、
ただ呆然と聞くしかできない私とは逆に。


「ちょっと待ちなさいよ。
二人だけで話を進めないでくれる?」


隣の女の人は、
苛立ちげに間に割って入った。


「す、すまない。
ここじゃあれだから、場所を移そうか」


ついてきてくれ、と合図を送る
藤に私がついていこうとすると。

何故か、
隣にいる女の人に止められてしまった。


「貴女、素直についてくつもり?
この人たちが何者かわからないのよ?」

「え、でも……」

「どう見ても怪しいじゃない!
ここもどこかわからない以上、
軽率な行動は控えるべきよ!」


ごもっともです。

何も考えずついていこうとしたけれど、
もう少し考えてみようか。

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