悠久のシャングリラ


「き、桔梗!
それは失礼じゃ……」


慌ててしまうが、
睡蓮は特に気分を害した様子はなく。


「……確かに、大きい…けど……
こういうの……どこかの本で……
読んだ気がして……」


普通に答えてくれた。


「なるほど。 本を参考にしたのね」

「桔梗ちゃんの教師役は、オレと睡蓮ね!」


鈴蘭の言葉を聞きながら、
桔梗は真剣な顔で弓を引く。

的は、少し離れた赤いバッテン。




狙いを定めーー。




「ふっ!」

「どわああ!」

「あ、惜しい!
もうちょっと横だったわ」


(た、確かに惜しい……ですけど……)


的の近くでのんびりしていた
鈴蘭の後ろの壁に矢が突き刺さっていた。


「さぁ、次々行くわよ!」

「ちょ、ちょっと待って!」


意気込む桔梗を制し、
鈴蘭が離れた場所へ避難する。


(よっぽど、怖かったんですね……)


少し鈴蘭に同情しながら、
私は私で拳銃を握った。

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