悠久のシャングリラ


『……め』


(え……?)


『……れ……』


(なんですか……?)


声の出どころを探そうと、
周りをキョロキョロ見渡す。


「どうしたの?」

「今、声が……」

「声?」


もう一度、耳を澄ますーーが、
結局何も聞こえてこなかった。


「うーん。 気のせいだったみたいです」


疲れているのかもしれない、と思い直し、
頭を軽く左右に降る。


「ほら、何してんだ! お姫さんたち!
帰らねぇのかー?」

「誰がお姫様よ! あたしは、
お姫様じゃなくて騎士がいいわ!」

「え、怒るとこそこなの?」


みんなの後に続きながら、
もう一度だけ振り返った。


(あの声、本当に幻聴だったのでしょうか。
もし、誰かの声だったらーー)


「百合? 行くよ」

「…あ、待ってください」


鳳仙に子どものように手を引かれ、
それ以上声について考えることはなかった。


『………を……』

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