悠久のシャングリラ
私の名前
案内されたのは、
壁が白く塗られた明るい部屋。
明暗がはっきりしていて、
目が慣れるのに時間がかかった。
「ここは?」
「俺たちが生活している場所だ。
あんな暗がりじゃ寝るに寝れないだろ?
それにここなら、化け物は入ってこれない」
「そうなんですか?」
「ああ。 よくわからんが、
こういう明るい部屋には来ないな」
言い終え、
藤が気まずそうに私の隣に目線を向けた。
そこには、警戒心むき出しの彼女が。
(あ、そういえば名前を聞いてません……)
「あの……、
貴方の名前は何て言うんですか?」
「人に聞くときは、
自分からって言うでしょ」
またしても、ごもっともです。
この人たちだけじゃなくて、
私にも警戒心が出ているのか。
「私の名前はーー……」