悠久のシャングリラ


「あの夢が本当にあたしたちの過去なら、
ーー記憶をなくす前は、知り合いだった」

「!」

「……そういうことになるのよ」


(え? 桔梗と藤が、
記憶をなくす前の知り合い?)


頭を整理しながら、
もう一度心の中で桔梗の言葉を復唱する。


「やっぱり、君もそう考えるんだね」


その時、頭上から声が降ってきた。


「あ、桜! 鳳仙に、睡蓮も!」


上を見上げると、
手すりにもたれかかった桜と。

その横には、鳳仙。 そして、
珍しく本を読んでいない睡蓮がいた。


「あたしたちも、ってことは、
貴方たちも同じ夢を見たの?」

「……うん。
さっき、偶然会って……」

「夢の内容をお互いに話したら、
まったく同じだったからさ」


鳳仙がまったく同じだったから、
そういった時、何故か鈴蘭が私を見た。

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