悠久のシャングリラ
ーーしかし。
「!」
手首を掴まれ後ろへ引き戻される感覚に、
スイッチが切り替わるように、
頭が現実へと戻ってくる。
「……あ、れ……私……?」
後ろを振り返ると、
焦った様子の鈴蘭と睡蓮の姿が。
「……急にいなくなって……焦った……」
「…………」
「あ……」
ちゃんとどこかに行きたくなった時は
みんなに伝えるように言われていたのに。
そのことを忘れ、
二人に心配をかけてしまった。
申し訳なさと怒られてしまうのではないかという緊張で、ゴクリと生唾を飲み込む。
二人の顔が見られない。
「ご、ごめんなさーー」
「っ!」
「え」
突然。
本当に一瞬の出来事。
何故か私は、
鈴蘭の逞しい腕の中に閉じ込められていた。