明け方のマリア
(三) 硝子の鳥
同窓会から何年かたった頃、アユミは雑誌の原稿を任されるまで成長していた。
ようやく自分のしたい仕事になりつつあり、充実感のようなものが、得られるようになった。
そんなある日、余りもののような雑誌の半ページを、急遽アユミが埋めなければならなくなった。
押し付けられたかのようなページだが、アユミは人の気配が消えて静かになったオフィスでひとり、パソコンのモニターを覗き込み、キーボードを叩く。
傍らのコーヒーカップから、温かい湯気が上がる。その脇には青いガラス細工がアユミの方を向いて、お行儀良く置かれていた。
アユミは原稿を書き上げ、明け方になってようやく帰宅した。
思ったより、アユミに疲労感はなかった。
◇
シズカとは同窓会以来、連絡を取り合っている。
この前話した時は新婚だったが、今度は母になるそうだ。
幸せかどうかは、彼女の声を聞けばわかる。
彼女も忙しい人生を歩んでいた。
だから連絡は携帯電話を使っているものの、お互い時間に融通のきくメールでやりとりをしている。
内容が子育て一色になるのも時間の問題だ。
今朝もシズカからメールが入っていた。
アユミは必ず、返信してから眠った。
ようやく自分のしたい仕事になりつつあり、充実感のようなものが、得られるようになった。
そんなある日、余りもののような雑誌の半ページを、急遽アユミが埋めなければならなくなった。
押し付けられたかのようなページだが、アユミは人の気配が消えて静かになったオフィスでひとり、パソコンのモニターを覗き込み、キーボードを叩く。
傍らのコーヒーカップから、温かい湯気が上がる。その脇には青いガラス細工がアユミの方を向いて、お行儀良く置かれていた。
アユミは原稿を書き上げ、明け方になってようやく帰宅した。
思ったより、アユミに疲労感はなかった。
◇
シズカとは同窓会以来、連絡を取り合っている。
この前話した時は新婚だったが、今度は母になるそうだ。
幸せかどうかは、彼女の声を聞けばわかる。
彼女も忙しい人生を歩んでいた。
だから連絡は携帯電話を使っているものの、お互い時間に融通のきくメールでやりとりをしている。
内容が子育て一色になるのも時間の問題だ。
今朝もシズカからメールが入っていた。
アユミは必ず、返信してから眠った。