明け方のマリア
(七) 想い
「さて、あの記事なんですがね」
歩美が何か言おうとした時、幸いにも、冬沙子の方から切り出してくれた。
「貴方の……、青い鳥を見せて貰えないでしょうか」
青い鳥と聞いて、歩美の唇が乾く。分かっていたことだが、改めてその言葉が発っせられると、表情に出さないまでも、心穏やかではいられない。
うっかり踏み潰した朝や、皮膚に滲んだ血液の色が、脳裏に浮かぶ。
「実は誤って壊してしまったんです」
歩美は絞るような声で言った。
「割れてしまったのですか」
「すみません」
歩美は青いガラスの欠片を保管していたお守り袋から、そっと取り出した。
冬沙子はそれを見届けると、両手を器のようにして、大切に受け取った。
「これはね。利喜三さんの私へのプレゼントなんですよ」
歩美が何か言おうとした時、幸いにも、冬沙子の方から切り出してくれた。
「貴方の……、青い鳥を見せて貰えないでしょうか」
青い鳥と聞いて、歩美の唇が乾く。分かっていたことだが、改めてその言葉が発っせられると、表情に出さないまでも、心穏やかではいられない。
うっかり踏み潰した朝や、皮膚に滲んだ血液の色が、脳裏に浮かぶ。
「実は誤って壊してしまったんです」
歩美は絞るような声で言った。
「割れてしまったのですか」
「すみません」
歩美は青いガラスの欠片を保管していたお守り袋から、そっと取り出した。
冬沙子はそれを見届けると、両手を器のようにして、大切に受け取った。
「これはね。利喜三さんの私へのプレゼントなんですよ」