【完】好きだという言葉の果てに

かつん。


いつもの合図。


彼女の靴音を聞いてから、俺は静かに顔を上げて微笑んだ。




「あやめさん…」


「ご、ごめんね!色々してたら、遅くなっちゃって…っ」


「大丈夫ですよ。そんなに急がなくても。俺、ちゃんと待ってますから」


「むぅ。だって。だって、早く佳人くんに逢いたかったし…っ」


「はは。そんなにむくれないで?ほら、鼻の頭赤くなってますよ。寒かったでしょう?カプチーノでも頼みます?それとも…」


「ウィンナーコーヒーがいいな。クリームたっぷりのやつ。ここ、何気に有名なんでしょう?」


「あぁ、そうですね。言われてみれば。じゃあ、頼んじゃいますね…すみません、オーダーいいですか?」


「はぁい…」

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