【完】好きだという言葉の果てに

もう少し、こうしてても…と、半ば耳元へと囁くように呟くと、彼女は握ったままの手をほんの少しだけ緩ませて脱力したように息を吐いた。



「んもう!佳人くんのH!」


「…一応、俺、これでも男ですからね」


「…し、知ってるってば、そんなこと!」




カウンターの向こうにいるウエイトレスが、うんざりだと言わんばかりに顔をしかめて大きな溜息をついているけど、構いはしなかった。
二人の距離が物理的だけじゃなく、心理的にも近付いていてくれることを祈って、そっともう片方の手で彼女の空いてる方の手を握り締めた。




どこにいても、二人は二人。

それしかない。

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