【完】好きだという言葉の果てに

その後、…どれくらい経ったか分からないけれど、二人ともすっかり冷えてしまって、教室の中に入り少しだけ暖を取る事にした。

すると、彼女が「図案は家で進める事にするよ」って言って来たので、じゃあ家まで送りますと返答をした。


「………」


帰り道、二人の間には会話らしい会話はなかった。

だけど、繋がれた手は一度も放れることはなく…そこから伝わる体温だけで、お互いが通じ合えている気がした。


「…そろそろ、あやめさんの家、ですね…」


「ん…そだね…」


さっからずっと何かを思い詰めたような彼女の表情。

そしてパッと放された手。

冷えていく自分の手を胸にして、急に押し寄せる不安。


今、彼女は誰の事を想っているんだろうか?

もしかして…もしかして…?
< 164 / 235 >

この作品をシェア

pagetop