【完】好きだという言葉の果てに
キャンパス内は俺と彼女をウワサする会話でいっぱいになっていた。
それはけして、祝福とは取れない、質の悪いものばかり。
人の心の闇に、好奇心を寄せる奴らは、口を揃えてこう言うんだ。
『月原さんと海野くんじゃ不釣り合い』
『元カレの甲斐くんの方がいい』
『なんで、あんなパッとしない奴と…?』
そんなことは自分が1番よく分かってる。
言われなくたって。
彼女の隣にいる自分がどう言われても、痛くも痒くもないけど。
彼女を悪く言って、笑いのネタにする奴らは。
今すぐまとめて地獄に落ちてしまえばいい。
そんな苦い想いが込み上げた。
あぁ。
どうか、こんなどうでもいいウワサが、彼女の胸を苦しませんように。
そればかりが気になって、暫くは授業どころではなかった。