【完】好きだという言葉の果てに
私も見た目は派手な方らしい。
栗色のゆるふわミディアムロングヘアが、一応自慢。
まぁ、私としてはそれくらしか自慢できる所はないのだけれど。
顔は当然のことだけど、自分では分からない。
ただ、偶に数合わせて呼ばれる合コンで、隣に座る男の子が、「可愛いね」とお世辞でも言ってくれるから、まぁまぁ普通なのかもしれない。
(親友の藍ちゃんからは、「あんたは自分のことをよく分かってないから損すんのよ。全く勿体ない!」と何度も言われてるけど…)


「あーあ。雨、しんどいなぁ…」


チラリ、と空を仰いでからぽつりと呟いた。
雲は厚くどこまでも続いていくトンネルのよう。
言葉にすると本当に辛くなるのは、充分に承知してるけど、もうこの言いようのない想いをぶつける場所は、其処にしかなかった。


色々と考え込んでいたら、歩道の信号がいつの間にか2回くらい青から赤に変わっていたようで、自分の足が知らない内に止まっていたことに気付いた。


これじゃいけない、と頭を横に振ってから、私は気を取り直して歩き出す。



早く待ち合わせ場所まで行かなければ。
気持ちは焦れるけれど、私の歩みは石のように重かった。


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