【完】好きだという言葉の果てに
大体、私と付合うってことは、彼にとってはどれくらいの意味があったんだろう?
価値があったんだろう?
見た目だけ愛されていただなんて思いたくないのに…。
私の願いは彼に好きになってもらえたらいい…たった1つ、細やかなものだけだったのに。
結局、繋ぎ止める術がなかった私は、『ばいばい』なんてとても陳腐で子供のような簡単な挨拶だけで呆気無く捨てられてしまった。
そして、彼は。
すぐに、私とは性格が『正反対』の女の子と付き合い始めた。
誰か。
この現実を嘘だと言ってよ。
束の間でしかなかった恋をどうか見捨てないで…。
心はそう叫ぶのに、実際私は涙を流すことが出来なかった。
涙も出ないくらい、絶望の淵にいた。
『ねぇねぇ!月原さん、フラれたんだってー!』
『ウッソー!マジで?!だってめっちゃお似合いだったじゃーん?』
『まぁ、甲斐くん、女にだらしないしなー。チャラ男ん中のチャラ男じゃん?』
『そっかー。月原さん、可愛いけど何気に真面目だもんねー。けど、なんか泣きもしなかったって話よ?』
『マジか。あぁ見えて気は強いのかねー?』
『や、そこ、プライド高いってだけじゃね?』
ギャハハハッ!…と、とても陰口とは思えないほど大きな声が聞こえて来る。