【完】好きだという言葉の果てに

「…あ、来た来た…」



待ち合わせは、駅前。
コンパクトでリップを軽く直していたら、視線の向こうには息を切らして走る彼の姿が入ってくる。


今更だけど。


サラサラの黒い短髪と、淵のない眼鏡がカッチリと彼の真面目という印象を強調してる。

でも。
その薄いレンズの向こうの瞳が、熱を帯びてくるとほんのりと濃い茶色に染まる事を、私は知ってる。



あぁ…もっと、彼の事を知りたいって。
その瞳で見つめられる度に、そう、思うんだ。


こういうのって、我儘っていうのかな?
ちゃんと、彼と向き合い始めていられているのかな…?

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