呪蟲
「すみません」

佐川はペコペコ頭を下げる。

そんな新人に滝沢は呆れ、話を進めた。

「で、発見者のじいさんの容態は?」

「え、ええ、それがですね」

佐川は言いづらそうに述べた。

「つい先程・・・・・・その−−亡くなったと。しかも死に方が異常でして−−」

「死んだ、だと」

全身に衝撃が走った。

滝沢はごくりと唾を飲み込み、続きを促した。

「確かじいさんは死体発見後、急に体調を崩したんだよな?」

「え、ええ。原因はわかりませんが、持病の再発を疑いましたが」

「で、死因は?」

先を促すと、佐川が震えるような声で答えた。

「それが、不明なんです。その、つまり−−ですね」

なかなか言葉が出ない。

それでも、佐川はなんとか先を続けた。

「む、む、虫に喰われて、死んだん、です。発見者の体に数え切れない程の発しんが出まして、それで、それで−−」

「それで?」

滝沢は次第に寒気を覚えた。

赤い変色した蝿−−。

何かの病気−−。

佐川は声を震わせながら、言った。

「その発しんは急激なスピードで増え、そこから大量のうじ虫が飛び出し・・・・・・喰らいつくしたんです。

全てを、体を、脳を−−」
< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop