呪蟲
あんな生物は、ありえない?

じゃあ−−。

滝沢は目をぎょっとさせた。

鑑識の男の顔から数え切れない程の赤い蝿が、空に飛び立ったのだ。

その瞬間、滝沢は無意識の内に大声を上げていた。

「逃げろおおおおおー!」

その声と同時に、その場にいた全ての人間が駆け出した。

謎の生物から逃げるために。

滝沢もまた混乱する頭の中、死に物狂いで森林の中を走り続けた。
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