こいぞら。
さよなら。
「さよならしようと思う」
次の日の朝、拓海はこんなことを言ってきた。
「なにから?」
「『翔』から。母さんに伝える」
「!」
私が立ち上がろうとするのを見て、拓海は手で制した。
「お願い、優香見てて」
「___ わかった」
口数が少ないことから、緊張していることは容易に見て取れた。
___ でも、決心して決めたということは。
「お母さんのこと、信じるってことでいいんだね?」
「...うん」
拓海は重々しく頷くと、そんなミステリードラマの犯人探しみたいに言わないでよ、と言った。
きっと笑いを取ろうとしたんだと思うんだけど。
____ ごめん。拓海。
全然面白くないです。